「13の理由」というネットフリックスのドラマを見ていたのだが、最近ドラマの中のある出来事を思い出す。
ジェシカという女性が、アレックス、ジャスティンという二人の男性といい感じになる。
だが、アレックスもジャスティンも、何というかあまりちゃんとしてない。
アレックスは情緒不安定だ。
感情の波が激しすぎる。
ジャスティンはもっとひどい。
情緒不安定どころではなく、ドラッグ中毒になるわ、ホームレスになるわ、ジェシカが友達にレイプされるのを止められないわで、もう最悪だ。
どちらかというと、アレックスのほうがまともである。
付き合うなら、どう考えてもアレックスである。
だが最終的に、ジェシカはジャスティンに惹かれたところで話は終わる。
ドラマの中での話なので真に受けるのもどうかと思うのだが、いかんせんこのドラマがリアルすぎるし、どうにもひっかかるものがあってずっと考えていた。
そして、わかった!
ダメな男はやさしすぎて損をする?
前にも書いたが、若い頃、大企業を辞める前によくホームレスから雑誌を買っていた。
「もしかしたらオレもホームレスになるかもしれない…」なんて思っちゃってね。
高学歴、大企業みたいな道を歩いてると、それ以外の道が怖くて仕方なかったのだ。
ホームレスの人から何度か雑誌を買うと覚えられて、たまに話すようになっていたのだが、ある日言われた。
「兄ちゃん、好きなの何でも持ってけ!」
そのとき、わかった。
その人がホームレスになった理由が。
この人はやさしい。
非常にやさしい。
だから、ちょっと仲良くなった人にはすぐやさしくしてしまう。
客に「タダで持ってけ!」なんて言ってしまってね。
今までの人生でも同じようなことをしていたら、相当ひどいめにあっただろうと思う。
世の中はいい人ばかりじゃない。
やさしさを利用しようとする奴も大勢いただろう。
利用されて吸い取られて、ホームレスになってしまった。
なのにまだやさしい。
悲しかった。
非常に悲しかった。
やさしくないから、ちゃんとしていられる
比べると、オレなんかはそんなにやさしくない。
「こいつと付き合っても自分のためにならない」と思えば、躊躇なく関係を切る。
事実、今まで何度もそうしてきた。
オレがひどい奴というより、多くの人は多かれ少なかれそうだろう。
例えば、金にだらしない人間と付き合うと、返ってこない金を貸すハメになったりするからね。
言い方を変えれば、ちゃんと生きるためには、どこかに冷たさが必要ってことだ。
情にとらわれず、人間関係を整理できる冷たさがね。
やさしいとか、冷たいとかという言葉だけ見ると、冷たいのは良くないかのようだが、別に悪いことではないとも思っている。
やさしさは心の奥深くまで響く
話を戻して、13の理由のダメすぎる男ジャスティンだが、ジャスティンもやさしい。
ダメな親を切れず、ダメな友達も切れず、結果として自分がひどいことになってしまった。
それでも、やさしかった。
最後まで、やさしかった。
自分を犠牲にしてでも、人にやさしくしてしまっていた。
そのやさしさが、ジェシカにどうしようもなく響いてしまったのだ。
理屈を通り越してでも惹かれるやさしさがあったのだ。
ダメ男にはそういうやさしさがあるからモテるのかもしれない、と思った。
…まぁダメ男にもよるだろうけどね。