大学時代、岸田秀さんという心理学者の方の本が好きで、よく読んでいた。
著作は多いが、内容は一貫して「すべては幻想」と書かれていた。
なぜなら、人間の本能は壊れている。
動物なら、腹いっぱい食べれば終わりだが、人間はやれ美食だの過食だのと本能とは関係のない行動をする。
そうやって食欲を満たそうとしても、永久に満たされることはない。
それは本能とはかけ離れた行為だからだ。
すべからくそうで、人間関係も、仕事も、性欲も、一瞬満たされた気がする程度で、何をやっても完全な満足など得られない。
手に入れても、あっという間に喜びは消えてしまう。
だから、すべては幻想なのだ、と。
言っていることはもっともだと思う。
だがしかし…
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ネガティブな分析はいらない
いくら「すべては幻想だ」と言われても、そう思いながら生きるのは辛い。
そして、死ぬまでの時間は長い。
気づいたときから、ニヒリストが大嫌いになった。
人生がつまらない理由を延々語ったところで、それが何になるというのだ?
そんなにイヤなら「じゃぁ、死ねば?」としか思えない。
生きるのが死ぬほどイヤじゃないなら、何とか楽しく生きる方法を探す。
別にキレイごとではなく、単純に合理的な帰結である。
退屈な理由ではなく、そんなことを考えなくて済むほど楽しく生きる。
好きな人とのデート中に、
「自分はなぜ生きているのか?」
「すべては空しい…」
などと、普通は考えないだろう。
オレはそういう時間を増やそうと思って生きている。
走ること=本能、だから…
ところで、数日前に下記の本を読んだ。

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”
- 作者: クリストファー・マクドゥーガル,近藤隆文
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: ハードカバー
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これは、伝説の長距離ランナー民族である「タラウマラ族」の秘密を追った本。
加えて、走ることの意味を人類の進化の過程から読み取ったり、世界屈指のウルトラランナー(トレイルランの激しい版みたいなマラソンをする人)についても書かれている。
読んでいて、鳥肌が立った箇所がある。
タラウマラ族が走るのが早い秘訣は、「走るのを楽しんでいるから」だと。
普通、過酷なマラソンをすれば疲れるし、表情にも表れる。
だが、彼ら彼女らは笑顔で走る。
しかも、信じられないほどの速さで…。
そこに科学的な解釈は不可能だ。
感覚的に言うのなら、走ることは人間にとって本能的な喜びであり、その純粋さを彼らは失っていないからだ。
そう、都会に住む我々にとって、走るのは退屈なことであり、疲れることである。
ランナーにとっても、不断の努力や忍耐が必要であり、勝つ喜びを味わうために走る。
そこに、本能的な喜びはあるか?
あるわけない。
人間が作り出した、一般的に良しとされる、本能からかけ離れた幻想でしかない。
タラウマラ族は、ただ走るだけではない。
仲間と協力して走る。
協力できないと、普段の力を発揮できない。
この本の解釈に寄れば、人は狩りをするために、動物よりも長く走れるようになった。
そして、狩りは一人ではできない。
仲間の助けが必要だ。
そう、走ることと、仲間と協力することは、人類が進化の過程で得た本能なのだ。
さらっと書いたけど、仲間への愛が本能なんだよ?
人間ってのも、なかなか美しいものだと思わないかい?
直感による取捨選択は…?
オレは世間で言われていることを信じないので、基本的には自分の感覚を頼りに試行錯誤してきた。
そんな中で得た生活パターンは、以下のようなものだ。
・早寝早起き
・人間関係を最も大事にする
・定期的に走る
・過剰な欲は持たない
この本を読んで気づいたが、本能からの距離を無意識のうちに意識していた、ということだ。
早寝早起きなのは?
人類の祖先は明るいうちに行動し、暗いときは寝ていただろう。
だって、電気とかないから。
人間関係を重視するのは?
物や金や名誉より、楽しいから。
ブログ読んでるだけだと分からないだろうが、オレは自分の好きな人に対してはとてもいい人である。
逆に、本能から外れた言動をする人は全力で拒絶している。
走っているのは?
色々やってて、一番楽しかったからだ。
走るのが好きと言うより、走りたい感じ。
欲をあまり持たないのは?
かつて読んだ漫画に「欲望は塩水のようなもの、飲めば飲むほど乾く」と書かれてたが、全く同感。
いくら金を持っても、良いものを買っても、地位や名誉があっても、もっと欲しくなるだけで何も満たされる気がしない。
という感じだが、ただ自分を信じて試行錯誤していただけだ。
だが、着実に本能的な生活に近づいているようだ。
非常に興味深く、また幸せについても何かをつかみかけているように思う。
本能は壊れちゃいない。
少なくとも、タラウマラ族にはそれに近いものが残っている…。
ということで、「BORN TO RUN」があまりにも面白かったので、明確な結論も出ないままにこの記事を書きあげてしまった。
いやねぇ、オレぐらいの読書家になると、何を読んでもどっかで聞いたことがあるような話だったりするわけよ。
そんな中で、この本で書かれていることはあまりにも新鮮であり、また的確でもあるように感じたのだ。
ここで書いた以外にも、「高級スニーカーがいかに体に悪いか?」なんてのもあって面白かった。
ただ、登場人物が多すぎて読んでてこんがらがってくるし、400ページ以上ある大作なので正直読みにくい。
なので、万人にオススメはしないが、内容は非常に、非常に良い!
走る人も走らない人も興味があれば、ぜひ!
★★★
胡散くさいが実はオレが一番伝えたい、「唱えれば夢は叶う」についての記事
※婚活口コミサイト「KONKATSU WORLD」はめげずに復旧中です。特に、わざわざ投稿していただいた方には申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください。また、毎回記事の最後に書くのもくどいように思うので、今後は進展があったときのみご報告いたします。ご了承いただければ幸いです。